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インタビュー

パッケージ開発での掛け算として総合力を活かす。

妙圓薗 学氏


凸版印刷株式会社 パッケージ事業本部マーケティング本部/本部長

---- 主に食品分野の需要に足場をおく包装産業は比較的、景気動向の影響を受けにくいといわれますが、昨秋来の米国発の金融危機の影響は。

妙圓薗)ご承知のように金融危機の影響は、国内景気にも確実に暗い影を落とし始めています。内閣府が2月に発表した2008年10~12月期のGDP(国内総生産)の速報値では実質で前期比3.3%減、年率換算では12.7%減となっています。マイナス幅では、第1次石油危機に見舞われた1974年1~3月期(13.1%減)に次ぐ大きさのようです。その点では、包装産業といえどもけっして例外ではありません。2008年後半から実質的な需要への影響が出てきており、先ゆきへの強い不安感から、研究・開発や設備投資などを先延ばしする動きも既に現れていることも事実です。
 一方で、包装産業を支える内需の動向においては、2005年から始まった人口の減少や少子高齢化などの社会構造の変化が、大きな影響力をもたらしています。つまり将来的な内需の規模縮小は否めない状況であり、すでに様々なかたちでその縮小傾向は現実に現れ始めています。またCVSが小売・流通での主力販売チャネルとなるなど、商品マーケットでのニーズは大きく変容しつつあります。
 このタイミングでの金融危機、景気後退であることから、私はこうした大きなマーケットの変化の流れが一段と加速し、ことの成否が明らかになってくると考えています。たとえば「売れる理由」といったことがハッキリと現れてくるということで、むしろ当社ではこの金融危機を1つの大きなビジネスチャンスだと捉えてチャレンジしていきたいと思っています。

---- 商品マーケットでは「価格」と「価値」の訴求による2極化が進む傾向にありますが、これも「売れる理由」の顕現化の1つといえるものでしょう。価格訴求にウエイトをおいたPB(プライベートブランド)商品の品揃えが増える一方で、PBとの差別化を図る上でも、NB(ナショナルブランド)の商品開発では付加価値の訴求がポイントとなりますね。

妙圓薗)先ほど私が"ビジネスチャンス"といった意味も、実はそこにあります。この付加価値の訴求といった点では、もちろん中身製品の開発も重要であることは論を待ちませんが、店頭販促などパッケージの果たす役割が確実に大きくなってきていると思います。こうした認識を持つお客さまは徐々に増えてきていると実感しています。ここ1~2年、自社内に包装の設計・開発にかかわる新しい組織を新設するお客さまなども現れています。
 特に付加価値の訴求を求めたパッケージの開発では、お客さまとのパートナーシップが不可欠であると思います。こうしたお客さまとの協力関係を構築していく上で、当社の持つパッケージ・サプライヤーとしての総合力が活かされると考えています。昨秋に開催された「TOKYO PACK 2008」では、環境配慮をテーマとした取り組みの1つとして、ユニークQRにアクセスすることで、実際に"緑の募金"への寄付ができる社会貢献型のWebキャンペーンを実施しました。これは当社が業界で初めて手がけた"紙包装にユニークQRをダイレクト印字する技術"を活用したものです。
 こうした取り組みの背景には、これまで紙製飲料缶「カートカン」で培ってきた実績やノウハウ、仕組みといったものが活かされています。ご承知のように「カートカン」は、原料となる紙に間伐材を含む国産材を30%以上使用し、売上金の一部が"緑の募金"に寄付される仕組みを構築しています。こうした特性や仕組みは、CO2吸収効率の高い健全な森林を育て、地球温暖化防止に繋がっています。

---- その「TOKYO PACK 2008」では、ネスレ日本の「ネスカフェ チャージ(CHARGE)」が今までにない詰替え容器として高い関心を集めていました。

妙圓薗)「ネスカフェ チャージ」の容器は、先に触れましたお客さまとのパートナーシップから生まれた、新しいコンセプトの詰替えスタイルといえます。ネスレ日本さまのTVコマーシャルの表現にもハッキリと表れていますが、これまでの包装の簡素化(減量化など)を訴求した詰替え容器の考え方とは一線を画しています。
 従来の詰替え用製品が追求していた「詰替えやすさ」の向上という視点に加え、「詰替えの楽しさ」といったエンターテーメント性を付与したかたちとなっています。また「ネスカフェ チャージ」では、これまでの詰替え商品が陥りやすかった割安感の訴求ではなく、製品の持つ豊かな香りや高い品質のおいしさにもこだわっています。こうした環境配慮設計から、高い品質保持や新しい詰替え機能の提案まで、ここにパッケージ開発における当社の総合力といった強みがあります。
 国内でも、一部商品へのカーボンフットプリントの表示が試験的に始まるなど、「環境配慮」が今後の包装設計・開発に重要なテーマであることはいうまでもありません。ただ、当社では単に環境配慮を開発テーマの1つとして、これまでのテーマにプラスするといった考え方ではなく、掛け算として総合力をフルに活かしていきたいと考えています。すでに商品ニーズは、単体としてのモノからコトの価値へと大きく移りつつあると認識しています。「自分へのご褒美」としていつもより幾分高い買い物をするなど、「ハレ」と「ケ」が日常化しつつあることもその現れといえましょう。
 パッケージは本来、独自のコア技術によって支えられているものですが、それ以上にハードとソフトとの様々な技術の組み合わせによるコンバーティングによるところが大きい。つまり点から線へ、線から面への広がりを生み出すことがパッケージ開発の醍醐味だと思います。金融危機による景気後退が深刻化している時ではありますが、パッケージの持つ本来の魅力が今ほど発揮できる時はないに違いありません。これまでも包装産業は、石油危機などの試練を幾度となく乗り越えてきました。いや、そのことが次なる発展の礎をつくってきたといえるかもしれません。景気後退で足踏み状態にあることは、新たな飛躍への土台固めと捉えて、社会構造の大きな変化にともなって変貌しゆくマーケットニーズに応えた新しい商品価値の創出を、お客さまとともに着実に進めていきたいと考えています。

写真1、2はいずれも紙を主原料としたプラスチックとの複合容器。写真1は新しい詰替スタイルの容器としてネスレ日本の「ネスカフェ チャージ」に採用。簡単で楽しく、風味を逃さない詰替え容器。写真2は「カートカン」の製造技術を応用したもので、間伐材を原紙に活用した環境配慮型容器。ロッテの「キリトール・ガム」に採用。写真3は「ユニークQR」。1点1点異なるシリアル番号を埋め込んだQRコードを、個々の商品包装材に直接印字する技術で、個別商品の識別や商品の購買証明を可能とする。写真4は紙製飲料容器の「カートカン」。環境配慮型製品として1996年に開発。間伐材マークの取得や売上金の一部を「緑の募金」に寄付。