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インタビュー

世界が求める日本のパッケージデザインの源泉

フミ・ササダ氏


ブラビス・インターナショナル/代表取締役社長

〈プロフィール〉1996年にブラビス・インターナショナル(BRAVIS INTERNATIONAL)を設立。"BRA"はブランド、"VIS"はビジュアル、ビジョンを表し、ラテン語の生命に通じる。15歳で渡米し、カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校のビジネスをメジャーに進学。アートセンターでグラフィックアンドパッケージデザインを専攻後、世界的に有名なランドーアソシエイツに入社。最初に手掛けたのは、SCジョンソンのシャンプーとコンディショナーのパッケージ。白鶴酒造のパッケージデザイン。ブラビス設立後は明治ブルガリアヨーグルト、キリンのどごしや氷結、ユニ・チャームのソフィブランド商品、ネスカフェ・エクセラ等、多数のパッケージデザイン開発を手掛ける(42P参照)。「パッケージデザインはコストではなく投資」がフミ・ササダ氏のポリシー。1996年に日本パッケージデザイン協会理事長に就任。

---- 世界同時不況の中でも、米国の第81回アカデミー賞で滝田洋二氏が監督した「おくりびと」が外国語映画賞を受賞するなど、海外からの日本への関心はより高くなっているように感じますが。

ササダ)私自身、様々なデザインワークなどを通じて、そのことを強く実感しているところです。その一例として、つい最近のことですが、米国のペプシコ(PepsiCo)元会長兼CEOのインドラ・ヌーイ(Indra Nooyi)女史が数名のスタッフとともに来日され、当社を訪ねてきました。突然といえる来訪で、これまで仕事上での関係なども全くありませんでしたので、大変に驚いた出来事でした。
 来訪の目的は、日本のパッケージデザインへの強い関心によるもので、その優れたデザイン性の秘密を知りたいというものでした。いうまでもなくこうしたテーマは、日本で日常的にデザインワークをしている我々には、ほとんど意識して考えることがないものです。あらためて問われると非常に難しく、明確に回答ができたとは思いませんが、当社のプレゼンテーションに満足をしていただいた様子でした。

---- そのプレゼンテーションの内容とはどんなものでしたか。

ササダ)パッケージデザインそのものというよりは、そのデザインを生み出すバックボーンとして日本人の感性やこだわり、デザインワークを支える周辺技術などについて紹介しました。例えば、デザインとして似ているようでも「simple」という英語では表現できない「間(ま)」や「わびさび」などの日本人の感性についてです。また「思いやり」や「おもてなし」という感情を表現する言葉は海外で見つけることは難しいと思います。
 単に「package」の誤訳ではない「包装」という言葉も、その日本人の感性をよく表していると思います。最近では、国内でも「ふろしき」のよさが見なおされているようですが、機能性のみではなくデザインなど、そこに現れた日本人の感性というものでしょう。「包む」ことにより、「思いやり」や「おもてなし」を表しているということが、「装(よそおう)」という言葉に込められているのではないでしょうか。
 先に紹介された「おくりびと」への高い評価も、単に映画としてだけではなく、日本人の感性が生み出すものへの関心の高さだと思います。「ジャパン・クール」という言葉が生まれたように、こうした関心はむしろ海外の方が強く国内では自覚できないというが実情でしょう。当社では近年、アジアからのデザイン制作の依頼も増えてきており、2005年に韓国・ソウルに支店を開設しました。その依頼内容のほとんどが、現地向けであっても日本的なデザインをしてほしいというものです。

---- 本誌では将来、アジア版EUのような1つの巨大な経済圏として、アジア・マーケットの発展といったものを強く期待しています。そうしたアジアの経済圏化の動きの中で、日本のパッケージデザインの源泉といったものを自覚するというのは、非常に意義があることのように感じます。

ササダ)私も、そんな思いをしています。これまで米国の金融政策の1つとしてのグローバル化が、驚くほどのスピードで進んできたわけですが、それが昨秋、突然に破綻をしました。私は、その意味するところは大きいと考えています。いうまでもなく日本をはじめ、アジア各国でも景気後退を余儀なくされていますが、その立ち直りは比較的に早いのではないかと思います。
 特にアジア・マーケットの伸展といったことを考えると、これからが本格的なグローバル化の始まりだと思います。それは、人やモノの流通といった金融とは異なる具体的かつ限定的な対象物によるグローバル化です。先に紹介したペプシコの元会長兼CEOのインドラ・ヌーイ女史の来日も、そうしたことをいち早く感じ取ってのことかもしれません。私は、パッケージデザインのグローバル化は日々進んでいると考えますが、そのローカルな立ち位置に重要性があると思っています。
 人やモノがこれから更にグローバルな流通を加速化させてゆく中で、逆にそのことの重要性が増してくるに違いありません。技術や情報はよりグローバル化が進むことでしょうから、日本は世界の、特にアジアのパッケージングの向上に大きく貢献できることと思います。
 それだけに「日本らしさ」という、その独自性に磨きをかけていくことが、強みとなるのではないでしょうか。そのことを、最も身近なカタチといて体現しているのが、パッケージデザインだとの自負を持っています。「ジャパン・クール」など海外からの日本文化への高い関心が、そのことの1つの証左だと思います。もちろん日々のデザインワークに、意識せずとも現われてくるというのがローカルな立ち位置ということですが、本格的なグローバル化の波に洗われる中で、パッケージデザインの源泉となる日本としての感性をもう一度問い直してみるよい機会だと思います。

数々のデザイン誌で“パッケージデザイン”の特集が組まれるなど、最近殊にパッケージデザインへの関心が高い。ササダ氏は「景気後退などモノが売れない中で、効果のみえにくいTVや媒体広告よりもパッケージデザインへの関心が高まっているのでは」と語る。そのササダ氏も「ブレイン」5月号でデザインのトレンドについてインタビューを受けている。そこで「商品のライフサイクルが確実に短化する中で、デザインが“ストック”から“フロー”へと移っています」と、ササダ氏は傾向を指摘する。