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インタビュー

明るい生活や優しさを提案するチロルの挑戦

松尾 利彦氏


チロルチョコ株式会社/代表取締役

〈略歴〉1952年、福岡県出身。大学卒業後、アメリカ留学。1977年、松尾製菓株式会社入社。1991年、代表取締役社長就任。2004年、チロルチョコ株式会社設立。現在、同社の代表取締役社長を務める。

---- 金融危機による現下の景気後退も多分に懸念されるところですが、内需ではそれ以上に少子高齢化などの社会構造の変化といった影響が大きいと考えます。本誌では、こうした社会構造の変化が商品マーケットのニーズとして現れてくる、大きなターニングポイントを迎えていると捉えていますが、貴社ではどのような考えを持っていますか。

松尾)私は、今こそ経済や企業のあり方が厳しく問い直されているのだと思い ます。企業の使命は社会のニーズを満たすために在る――その意味で、それぞれの企業が存立の原点に立ち返るべき時期にきていると思っています。松尾製菓といえば「チロルチョコ」であり、まだチョコレートが子どもの手の届かない高級品であった時代に、2代目社長の松尾喜宣が「子供たちのおこずかいで買えるチョコレートを提供したい」との思いで開発されました。ここに当社の存立の原点があります。最初に10円という売価ありきからスタートしたのです。そこでチョコレートの中にヌガーを入れる現在の「チロルチョコ」が誕生しました。かつては、オイルショックによるコスト上昇で30円まで値上げをしたことがありました。しかし、大きさを3分の1にして1979年には再び1個10円での販売に戻しています。そして2004年、創業100周年を迎えたのを機に以前から目標にしていた東京進出を実現させたいと思い、企画・販売部門を分離して「チロルチョコ株式会社」を設立しました。

---- そうした原点回帰の1つなのか、懐かしのパッケージで3つ山の復刻版「チロルチョコ」を発売していますね。やはり「チロルチョコ」としての原点を再認識した強みか、近年では期間限定のフレーバーやアソート・バラエティーパック、他社とのコラボレーションなどアイテム数だけに止まらず、商品群の幅が急速に広がっていますね。

松尾)やはりCVSでの販売が大きな転機となっていると思います。特にCVSでの1個売りでは個装のパッケージにバーコード表示が必要となったことから「チロルチョコ」のサイズをひと回り大きくしなければならず、現在の20円売りがスタートしました。CVS向けの開発は商品の改廃も早く、アイテムも急速に増えています。また、アイテム数の拡大とともに開発スピードも非常に速くなってきていますね。私自身も、こうした開発現場の最前線に身をおいていますが、企画・開発のほとんどを20〜30代の若い世代が担っています。そうした中で、予想以上の大ヒットに驚いた「きなこもち」などもあります。ご存知のように、「きなこもち」ではシニア世代の需要も大きく広がりました。狙ったわけではありませんが、確かに需要の構造変化といったことが「チロルチョコ」の開発や販売でも如実に現れてきています。洋風から和風へといった流れの中で、「京きなこ」や「黒みつきなこ」などのプレミアム感を訴求したアイテム開発なども1つのトレンドです。特に人気の高い「まっ茶」の開発では、抹茶原料の素材や品質にもかなりこだわっています。

---- 「チロルチョコ」は、強いブランドイメージと高い完成度の商品であるだけに、フレーバーなどのアイテム開発が非常に重要なポイントとなりますね。同時に、定型化した形状でのアイテム間の差別化はネーミングやパッケージデザインが担っているといっても過言ではありません。それだけに、企画・開発の担当者への期待は大きいと思いますが。

松尾)差別化や販促といった点で私自身、パッケージの重要性を強く認識しています。企画・開発にあっては、様々な商品要素への専門知識だけでなく、広い視野で旺盛な「好奇心」が必須条件だと思っています。同時に、「チロルチョコ」という軸をぶらさず、ブランド力を持続していくためには、冒頭にも触れましたが、原点への回帰が非常に重要です。美味しさだけではなく、驚きや楽しさといったことを大事にしていきたいですね。子どもの頃、「チロルチョコ」の思い出を持つ人は、大なり小なりそうした思いを抱いていたと思います。「チロルチョコ」の原点とは、「楽しさの提案」「明るい生活の提案」ということになるのではないでしょうか。企業のそうした存在意義が改めて問われていると感じています。