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インタビュー

投資事業は長期的ビジョンに立ったプロジェクト

フレドリック・ギスレー氏&ロット・ハンマー氏

フレドリック・ギスレー氏(スウェーデン大使館/Senior Investment Advisor, Materials Science)& ロット・ハンマー氏(スウェーデン大使館/Vice President, Communication & Public Affairs)

スウェーデン大使館投資部(INVEST SWEDEN, JAPAN)は、スウェーデンへの投資を誘致する政府機関。スウェーデンでの新規事業や事業拡張を考える日本企業に対して、地域および国際ネットワークを通じて情報提供や支援を行なっている。スウェーデン企業の貿易・日本進出の支援を行なう商務部、日本とスウェーデン間の共同研究の促進などを行なう科学技術部とともにスウェーデン大使館の中にある。販売拠点やR&Dセンターの設立、企業の買収・投資、物流拠点の設立や不動産投資など、スウェーデンでの投資案件をサポートする。スウェーデンでのビジネスをスタートさせるための実践的なアドバイスには、各分野の権威からユーティリティ関連の業者、会計・法務などの専門家まで、事業所設立に必要なコンタクト先を紹介も含まれる。産業分野では「ライフサイエンス」「ICT」「クリーンテック」「自動車」「パッケージング&ファイバー」など、スウェーデンが強みを持つすべての分野を網羅する。

----- 本誌は、スウェーデン大使館投資部とは比較的関係が深く、またスウェーデンには殊のほか親近感を持っています。もちろん、日本でスウェーデンに親近感を持つ人は多く、けっして本誌の"専売特許"となるものではありません。特に"リーマンショック"に前後して、スウェーデンへの関心が高まっていると感じています。
 例えば、「ノーベル賞」の日本人受賞者が相次いでいることや、スウェーデンからの進出企業である「H&M」、「IKEA」などが人気を博しています。さらに内政の行き詰まりから打開策として、スウェーデンの福祉政策などにも高い関心が寄せられています。今月行われた「TOKYO PACK 2010」(10月5日〜8日)の開会式では、海外からは唯一スウェーデン大使のステファン・ノレーン(Stefan Noreén)氏だけが、来賓あいさつに立たれたことも不思議なことです。

(ハンマー) 全面的に賛同致します。これは、1つの"時"を感じさせる運命ではないかと思います。前々回開催の「TOKYO PACK 2006」から、日本包装技術協会(JPI)を通じて本格的な交流が始まりました。前回開催(2008年)では、ご指摘のように"時"を合わせるかのように"リーマンショック"が起こりました。幸いにも、スウェーデンでは10年ほど前に同様な金融危機を経験しており、その対策が功を奏して国内での影響は小さかったといえます。ただし、GDP比で見た輸出比率が格段に高いことなどもあり、"リーマンショック"のインパクトの大きさは同様に感じています。

(ギスレー) 事実、"リーマンショック"以降では日本企業とのR&Dなどの進展のスピードが鈍った感は否めません。ただし私たちは、もとよりR&Dなどの投資事業には時間を要すると考えており、長期的なビジョンに立ったプロジェクトであることを認識しています。たとえ"リーマンショック"といえども、一時的な影響に左右されるものではないと思っています。その意味では、「これから」との思いを強くしていますが、すでにこれまでの成果が「TOKYO PACK 2010」には厳然と現れていました。

----- 大日本印刷(DNP)ブースに「MicVac」の技術が大きく紹介されていましたね。本誌は数年前、スウェーデン大使館投資部の招へいでスウェーデンにある包装関連のベンチャー企業を数十社取材する機会をいただきました。MicVac社はその内の1社で、ユニークな発想と技術に感銘を受けた思い出があります。それだけに、本誌にとっても他人事ではなく嬉しく思います。本誌では、日本にとっての"リーマンショック"の影響は、けっして景気後退という負の面だけではないと思っています。プロダクトマーケットを支える需要構造は大きく変化してきており、少子高齢化を背景にした人口の減少やシングルスの増加などの方が、将来の経済には大きな影響を及ぼすことになるからです。"リーマンショック"以降、ようやくこうした厳しい現実に目を向け始めたという感を強くしています。その点で本誌も、日本の包装産業がR&Dなどで、スウェーデンとのコラボレーションを強みとして発揮するのは、「これからだ」との認識を強めています。

(ギスレー) 確かに、日本での海外進出への関心が高まってきたことを感じます。内需ではスウェーデンでも日本と全く同じ課題を抱えているといえます。その点では、もとより人口の少ないスウェーデンでは内需依存では成り立たず、国際的な競争力を高めることに注力してきました。いよいよ本格化するグローバリゼーションの伸展を考えれば今後、アジアが主要なマーケットになることは疑う余地もありません。
 それだけに、日本とスウェーデンとの多次元でのコラボレーションが、互いの国際的な競争力を高めていく、大きな活力になることは間違いないと思います。冒頭に述べられた"スウェーデンへの親近感"は、同じくスウェーデンでも日本に対して感じていることです。ユーラシア大陸の東と西という対極に位置しながら、非常に近しい感性を持っているということは不思議です。それだけに互いの差異を学び合い協力し合うことが、グローバルマーケットでの強力な武器になると考えます。特に「ヘルスケアー」や「パッケージング&ファイバー」の分野では、互いの強みを生かした協力関係が構築できると思います。

----- ご指摘の分野では、特に女性の活躍が期待されると考えています。その点、日本ではだいぶスウェーデンに遅れをとっています。将来に女性の活躍の舞台を広げたいとの思いから、本誌では細やかながら「ジェイサロン(Jsalon)」という女性だけの勉強・交流会を定期開催しています。「TOKYO PACK 2010」で来日された「THE PACKAGING ARENA」(ザ・パッケージング・アリーナ事業協同組合)では、代表のパー・ブランゼン(Per Branzen)氏を除いてすべて女性スタッフだと聞きました。是非とも一度、「ジェイサロン」との交流を実現したいものです。
 本誌は、これからのパッケージ・イノベーションに生かされる女性の感性として、非常に現実的であることや直感的であり、情緒的であることに注目しています。日本でのこれまでのパッケージ・イノベーションでは、これらの女性の感性はむしろマイナス面として避けられてきたと思っています。ゆえに、そのプラス面に光を当てていきたい。本来、ジャーナルは世界に対して公平であるべきですが、あえて女性的な感性から率直にいえば、本誌はスウェーデンに"肩入れ"します。

(ハンマー) 全く同感です。誤解を恐れずに言えば、私も"肩入れ"が好きな人間の1人です。また「ジェイサロン」も、非常に興味ある取り組みだと思います。その実現のために、是非ご協力をさせていただきたいと思います。ご承知のように、スウェーデンは人口の少ない国ですから、限りある人材の投与に男女の別はありません。基本的に人材は能力の有無によるもので、性別や人種、年齢などは問題ではないと考えています。確かに「ヘルスケアー」や「パッケージング&ファイバー」といった分野では、女性の持つ感性が生かされるといえるかもしれません。「THE PACKAGING ARENA」に女性が多いことも、そうした必然なのかもしれませんね。