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インタビュー

震災経験が起こす現実以上の変化とは

宝坂健児(ほうさかけんじ)

ジェイパックワールド株式会社
代表取締役社長 兼 編集人

----- 東日本大震災の発生から1か月が経ちました。震災で亡くなられた方々のご冥福とともに被災された方々に心よりお見舞い申し上げ、黙祷をさせていただきます。(黙祷)そして、1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。さて、宝坂さんは2011年3月11日の当日はどこにいて、この震災を体験されましたか。また、震災に前後して何か変わったものはありますか。
 
宝坂 本誌も毎日、被災された方々の健康と安穏、1日も早い復興を祈念しています。尼僧の瀬戸内寂聴さんが、或るTVインタビューの中で「思いは必ず届く」と語っていました。「届く」というのは、被災者の"心に"でもあるとともに、"天に"という意も込められていると思います。それには福島の原発事故の収束があり、いまだ大小様々に余震が絶えないからです。
 本誌もジャーナルとして言葉の力を信じ、関係企業のお力を借りて震災地へエールを贈るための誌面を今号から設けました。2011年3月11日は前号(2011年4月号)の最終編集の日で事務所におり、震度5強の揺れを東京で体験しました。被災地とは比べられませんが、大きな揺れとその長さに一瞬、ビルの崩壊による"死"を予感させられました。
 東京にいて同じような思いがよぎった人は、多かったのではないでしょうか。幸いにも小さな本棚が倒れた程度で済みました。ですから、前号には全く震災のかけらも誌面には表れていません。東京の風景からはほとんど感じられませんが、被災地の風景は、震災を前後して全く変わってしまったといえます。それが一体、何を物語っているのか。今はまだ、はっきりとは分かりません。
 しかしながら、この震災を経験した人心は、現実の風景以上に大きな変化を起こしていると考えるべきだと思います。それが、どのようなカタチとなって現実の世界に現われてくるのか。本誌も、プロダクトマーケットやパッケージといった観点から、その変化に注目していきたいと思っています。
 本誌では、前号と比較した今号・特集内容の"変わりっぷり"が、まさしく震災の影響をはっきりと映し出したものといえます。ただ前言に習えば、この"変わりっぷり"は1つの被災現象に過ぎず、それが今後の誌面内容にどのような変化を及ぼすかの方が見どころではないでしょうか。他人事のようで恐縮ですが、私にも自身の心が受けた影響がどんなものであるか、ハッキリとは分かっていません。
 
----- つまり、カタチとして誌面に表れてくる中で、ご自身も確認することができるということですね。それは、非常に興味深いことです。
 
宝坂 むしろ客観的に見ることのできる読者の方が、こちらの変化の内容をハッキリと掴むことができるのではないでしょうか。楽しみにしていますので、是非ともご意見・感想をお寄せください。すでに数多く報道されていますが、震災での東北の人たちの対応や振る舞いに、海外から多くの賛辞が寄せられています。
 私も「Luxe Pack Shanghai 2011」(2011年3月29日〜30日)の招へいで上海を訪れた際に、そのことを実体験することができました。現地でイタビュー取材させていただいた、日本企業の竹尾紙張貿易(上海)の総経理である山保健一氏は「これほど日本人として誇りを持てたことはありません」と声をふるわせて涙をためて語ってくれました。
 山保氏は30代の若さで、大きな時代変化の流れをよく捉えており、「自社の強みがどこにあるか」又それにより「上海に何が貢献できるか」など真剣に考えていました。そうした考えを持つようになった理由を、山保氏は「上海に来て6年になりますが、海外で仕事をする機会を得たことが大きいと思います」とハッキリと語ってくれました。
 本誌も常々、滞在期間の長さはともかく、海外から日本や産業界、自社を見直すことの重要性を訴えてきました。海外の国際包装展の開催に合わせた視察ツアーなどを企画することも、そこに理由があります。もちろん"海外から"だけといった話ではなく、物事を外から観ることの大切さを訴えたいと思います。それは、またジャーナルとしての重要な役割でもあると認識しています。
 
----- 今回の震災では、東日本に拠点を置く包装企業が受けた被害もけっして少なくありません。その影響は1ヵ月を経た現在でも、フィルム材や印刷インキ、ラミネート溶剤、ボトルキャップなどの供給不足として、商品流通にも支障が現われていることは周知の通りです。
 
宝坂 現在も懸命な復旧作業が進められており、徐々に供給不足は解消されることになります。こうした中で大事なことは、やはりパッケージがなければ商品は流通できないという実感ができたことです。また震災時では、想像以上にパッケージの果たす役割が大きい。当然、逆にパッケージのムダといった面もフォーカスされますが、いずれにしてもパッケージの存在が再認識された、またとない機会です。
 もちろん出過ぎることはいけませんが、控えめ過ぎてはこの機会を逃してしまいます。「ピンチはチャンス」という言葉もあります。こうした逆境での経験を通じて、顧客との善きパートナーシップを構築し、積極的な見直しの中で、新しいパッケージのカタチを創造する作業をスタートしてほしいと思います。こうした方向性をハッキリと示し、善きパートナーを結び合わせていくことが本誌の役割であるとも考えています。