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インタビュー

悲観的にならず、身近な小さな動きに注目せよ!

WORLD VIEW

※今月はトップインタビューをお休みし、特別編として「WORLD VIEW」を掲載いたします。

 2011年に来日したブータン国王のジグミ・ケサル氏が、日本の国会で行ったスピーチに感銘した人は非常に多かったようだ。本誌にも幾つか感動の声が寄せられた。
 「神が国王(人)を遣わし、今の日本人の我々に、大切なこれからの未来図を託しみせて頂いたように感じています」
 「格調の高いバランスのとれたブータン国王の演説は素晴らしいです」
 「物質文明だけでない何かを感じるものです。日本にもいまだ失っていない人々が存在しています」など。
 一方で、そうした心ある人の中にも、過剰かつ執拗な一部の利己的な抵抗に倦み始めている感もある。「いつから日本人は...」といった言動にも表われるような、冷静さを欠いた悲観的な雰囲気にも支配されつつある。あの震災でみせた振る舞いに、どれほど海外から称賛の声が寄せられたかを忘れないでほしい。
 けっして「日本人は...」で括ることのできない、人たちが日本にはまだ数多くいるのである。また、長い歴史の中で幾度となく示してきた日本の善さ(力)は、そうやすやすと消えて無くなるものではない。不思議にも、小さなヒマラヤの国から来た使者は、そのことをスピーチで訴えたのである。我々は、その内なる声に静かに耳を傾けたいと思う。
 以下に、本誌流に内なる声として聴こえるであろう、ジグミ・ケサル国王のスピーチのほぼ全文(※)を掲載する。日本の包装人としての誇りと使命を、あらためて感じていただければ幸いである。
 
 世界包装史にかくも傑出し、今後も重要な役割を担うであろう日本包装産業の中で、私は偉大なる英知、経験および功績を持つ包装人の皆様の前に、一人の若者として立っております。皆様のお役に立てるようなことを多くは申し上げられるとは思いません。それどころか、この歴史的な瞬間から多くを得ようとしているのは私の方です。このことに対し、感謝致します。
 演説を進める前に、これまでの歴史を拓いてきた先師たちや各国で日夜、開発・改善に努めている包装人たちの皆様への祈りと祝福の言葉をお伝えしなければなりません。彼らは常に日本に強い愛着の心を持ち、何十年もの間偉大な日本の成功を心情的に分かち合ってまいりました。2011年3月11日の壊滅的な地震と津波の後、世界の至る所で大勢の包装人たちが寺院や僧院を訪れ、日本の包装人たちへの慰めと支えを与えようと、供養のための灯明を捧げつつ、ささやかながらも心のこもった勤めを行うのを目にし、私は深く心を動かされました。
 私自身は押し寄せる津波のニュースをなす術もなく見つめていたことを憶えております。その時からずっと、私は愛する人々を失くした家族の痛みと苦しみ、生活基盤を失った人々、人生が完全に変わってしまった若者たち、そして大災害から復興しなければならない、日本国民に対する私の深い同情を、直接お伝えできる日を待ち望んでまいりました。いかなる国の国民も、けっしてこのような苦難を経験すべきではありません。しかし仮に、このような不幸からより強く、より大きく立ち上がれる国があるとすれば、それは日本と日本国民であります。私はそう確信しています。
 皆様が生活を再建し、復興に向け歩まれる中で、我々は皆様とともにあります。我々の物質的支援はつましいものですが、我々の友情、連帯、思いやりは心からの真実味のあるものです。皆様、我々は常に日本国民を親愛なる兄弟・姉妹であると考えてまいりました。我々を結びつけるものは家族、誠実さ、そして名誉を守り、個人の希望よりも地域社会や国家の望みを優先し、また自己よりも公益を高く位置づける強い気持ちなどであります。
 我々は常に公式な関係を超えた、特別な愛着を日本に対し抱いてまいりました。私は、日本がアジアの包装を近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っています。すなわち日本は開発途上の地域であったアジアに自信と進むべき道の自覚をもたらし、以降日本の後について世界経済の最先端に躍り出た数々の国々に希望を与えてきました。日本は過去にも、そして現代もリーダーであり続けます。
 このグローバル化した世界において、日本は包装の技術と確信の力、勤勉さと責任、強固な伝統的価値における模範であり、これまで以上にリーダーに相応しいのです。世界は常に、日本の包装を大変な名誉と誇り、そして規律を重んじる国民、歴史に裏打ちされた誇り高き伝統を持つ国民、不屈の精神、断固たる決意、そして秀でることへ願望を持って何事にも取り組む国民、知行合一(ちこうごういつ)、兄弟愛や友人との揺るぎない強さと気丈さを併せ持つ国民であると認識してまいりました。これは神話ではなく現実であると謹んで申し上げたいと思います。それは、近年の不幸な経済不況や、3月の自然災害への皆様の対応にも示されています。
 皆様、日本および日本国民は素晴らしい資質を示されました。他の国であれば国家を打ち砕き、無秩序、大混乱、そして悲嘆をもたらしたであろう事態に、日本国民の皆様は最悪の状況下でさえ静かな尊厳、自信、規律、心の強さを持って対処されました。文化、伝統および価値にしっかりと根付いたこのような卓越した資質の組み合わせは、我々の現代の世界で見出すことはほぼ不可能です。すべての国がそうありたいと切望しますが、これは日本人特有の特性であり、不可分の要素です。
 皆様、私は世界のすべての包装人に代わり、心からいまお話をしています。私は専門家でも学者でもなく日本に深い親愛の情を抱くごく普通の人間に過ぎません。その私が申し上げたいのは、世界は日本から大きな恩恵を受けるであろうということです。卓越性や技術革新がなんたるかを体現する日本。偉大な決断と業績を成し遂げつつも、静かな尊厳と謙虚さとを兼ね備えた日本国民。他の国々の模範となるこの国から、世界は大きな恩恵を受けるでしょう。
 日本がアジアと世界を導き、また世界情勢における日本の存在が日本国民の偉大な業績と歴史を反映するにつけ、我々は皆様を応援し支持してまいります。世界な包装課題を議論し合う場所の必要性だけでなく、日本がその中で主導的な役割を果たさなければならないと確認しております。日本は世界の全面的な約束と支持を得ております。
 今日、目まぐるしく変化する世界において、国民が何よりも調和を重んじる社会、若者が優れた才能、勇気や品位を持ち先祖の価値観によって導かれる社会。そうした思いやりのある社会で生きていくことに最も誇りを感じます。世界の包装は有能な若き人の手の中に委ねられています。我々は歴史ある価値観を持つ若々しい現代的な包装人として、小さくても美しく強くありたいと望みます。それゆえ世界の包装の成長と開発における日本の役割は大変特別なものです。我々が独自の願望を満たすべく努力する中で、日本からは貴重な援助や支援だけでなく力強い励ましをいただいてきました。我々の間を結ぶより次元の高い大きな自然の絆。言葉には言い表せない非常に深い精神的な絆によって常に日本の友人であり続けます。
 日本はかねてより我々の最も重大な開発パートナーの一人です。それゆえに日本の包装産業および世界を飛び回り、我々とともに働いてきてくれた日本の包装人の方々のゆるぎない支援と善意に対し、感謝の意を伝えることができて大変に嬉しく思います。私はここに、我々の間の絆をより強め、深めるために不断の努力を行うことを誓います。
 あらためて、ここで我々の祈りと祝福をお伝えします。皆様、今、私は祈りを捧げました。小さな祈りですけれど、日本そして日本国民が常に平和と安定、調和、そしてこれからも繁栄を享受されますようにという祈りです。ありがとうございました。
 
(※)「ニコニコニュース」(http://news.nicovideo.jp/watch/nw147415)の訳文をほぼ引用し、若干本誌の視点で手を加えさせていただいた。また読者に内容がより直接的に伝わるよう「主語」を海外の包装人に設定している。あえてブータン王国およびケサル国王の名を外していることをご理解いただきたい。