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インタビュー

包装における女性の役割とは

WORLD VIEW(2012年3月)

※今月はインタビューをお休みし、特別編として「WORLD VIEW」を掲載いたします。
※下の写真は、国連女性機関(UN Women)初代事務総長のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)女史(Wikipediaより)。

 この時季、包装界でも例外なく新春の賀詞交歓でにぎわうのが慣例となっている。"慣例"ゆえに、そこに疑問を持つ人など誰もいないわけだが、ある時になぜか、人の溢れた場内が一面"黒一色"に見えたことに違和感を覚えたのだ。非常に大雑把なイメージで恐縮だが、それは背広に身を包んだ男性たちで埋め尽くされた光景なのである。
 これが、けっして包装業界だけの例外とは思わないが、言わずもがな、包装の大半は生活者向けである。その生活で、一体誰が主体的な地位を占めるのであろうか。それは女性である。そこに考えが至れば、参集の半分以上が女性であっても何の不思議もない。まさか黒一色にはなり様もなく、色とりどりの花が咲いたように、ひと足早い春を迎えた雰囲気となるはずだ。
 元国連事務次長のアンワルル・チョウドリ氏は、"平和"について「女性が関わることによって、『平和の文化』はより強靭な根を張ることができる」と言っているが、「平和」よりも「包装」の方がよく言い得ていると思う。そんな思いで2年前(2010年)からスタートさせたのが、女性の学びの集い「ジェイサロン(Jsalon)」である。
 なぜ、元国連事務次長の話を引いたかというと、同じ2年前に国連にも女性機関(UN Women)が創設されているからである。今回は、その初代事務局長となったミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)女史の「今こそ男女平等の約束を実現させる時―2011年国際女性デーに寄せて」(2011年3月8日)のメッセージの全文を紹介するとともに、その中のバチェレ氏の言葉を若干本誌流にアレンジして伝えたい。
 フェイスブック上の友人からも、「長い文章ですが是非多くの、特に女性に読んでいただきたいですね。日本にも男女差別がどれ程はびこっているか。それは国民の損失です」などの熱いエールが寄せられている。
 
 百年前の今日、世界中の女性たちは平等の実現に向けて、長い道のりの歴史的な一歩を踏み出しました。初めて「国際女性デー」が催されたのは、世界中の女性たちが直面していた、受容しがたい危険な労働環境に目を向けさせるためでした。この日を祝ったのは一握りの国々に過ぎませんでしたが、100万人の女性たちが街に繰り出し、職場環境の改善のみならず、選挙権や働く権利、男女平等を求めました。
 こうした勇気ある先駆者たちが今日の世界の実状を見たなら、誇りとともに失望も相半ばする思いを抱くのではないでしょうか。この百年の間に女性の法的権利はかってないほど向上し、その進歩には目を見張るものがありました。確かに女性の権利の前進は世界がかつて経験した、最も意味深い社会変革の1つと言えましょう。
百年前、女性に選挙権を認めていたのはわずか2ヵ国に過ぎませんでした。今日、その権利は事実上普遍的なものとされ、どの大陸でも、女性が政府の首脳を務める例は珍しくありません。また女性たちは、かつて門戸を閉ざしていた職業でも、高い地位に就くようになりました。
 その後、近年になってからでさえ、警察や裁判所、隣人は家庭内暴力を個人の問題とみなしていましたが、今日では3分の2に上る国々が家庭内暴力を処罰する法律を備えており、国連安全保障理事会も性的暴力を意図的な戦略の手段であると認めています。
 しかし、前世紀には見られたこうした進歩にもかかわらず、初の「国際女性デー」で叫ばれた男女平等を達成するにはまだ長い道のりがあります。読み書きのできない人の3分の2は女性です。女児は男児に比べて、いまだに学校に行ける可能性が低いのです。安産の知識や技術があるにもかかわらず、毎日90秒毎に1人の女性が出産、あるいはその合併症で命を落としています。
 世界のどこの国でも、女性は男性と同じ仕事をしても、その賃金は低いのです。多くの国で、女性は土地の所有権や相続権の面で平等に扱われていません。また目覚しい進歩にもかかわらず、女性が州議員に占める割合は19%、和平交渉への参加は8%、そして国家元首の人数は28人に過ぎません。
 この差別で不利益を被っているのは、女性だけではありません。私たちのすべてが、全世界の半分の能力や才能を活用できていない損害を受け、民主主義の質や経済力、社会の健全性、平和維持力を損なっているのです。昨年(2011年)の「国際女性デー」のテーマは、「教育、研修、科学技術への平等なアクセス」であり、このような女性の能力を開発する必要性を強調しています。
 ジェンダー平等、女性の権利確保は、南北の区分や貧しい国、富める国の別なく、すべての国に突き付けられたグローバルな課題です。国連が4機関を統合して「UN Women」を創設したのは、これらの権利の普遍性とそれが確保できた場合の成果を認識しているからです。光栄にも、私が事務局長を務めるこの組織の目標は、国連機関全体を活性化させて国連憲章に謳われた"男女同権"の約束を実現させることです。これは、私が一生を賭けて戦ってきたことでもあります。
 
(以下、バチェレ氏の言葉を「ジェイサロン」の女性メンバーとしての言葉に改めさせていただいた。ご了承ください)
 私は若い母親として、また包装実務者として、家庭と仕事の両立を図ることに苦労してきました。育児施設の不足によって、いかに女性が報酬を得る仕事から締め出されてきたかを見てきました。こうした様々な障害と戦いながら、社会に貢献する包装を生み出すことができるのではないかと考えたのが、私が「ジェイサロン」に足を踏み入れた理由の1つでした。家族に育児や介護のサポートをしたり、社会のインフラを支えるための公共的に位置付けを考えてきたのもそのためでした。
包装実務者として、私は日本の包装が直面する課題に、男性も女性も平等にその能力や経験を寄与できるように努めてきました。だからこそ男女がそれぞれの特徴を生かした包装実務といったものを提案したいのです。
 ジェイサロンのメンバーとともに今までの経験や知識を生かし、包装実務を通じて男女の別なくそれぞれの持ち味を生かして、例えば「SAVE FOOD」の実現に力を合わせてゆけるよう力を尽くします。世界の包装実務リーダーや市民、市民社会、民間企業、公的団体・組織などと手を結んで、各国の包装実務者たちが、この崇高な目標を達成するための施策やプログラム、予算などを議論し、打ち出せるよう支援していきたいと思っています。
 私は、女性たちは機会さえ与えられれば、過酷な状況にあっても自分たちの家族や社会のために多くのことを達成できることをこの目で見てきました。女性の強さ、勤勉さ、知恵はまさに人類最大の未開発資源といえます。この可能性を拓くのに、この先百年も待つわけには絶対いかないのです。