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インタビュー

ハイバリアフィルムが生み出すグローバルな包装価値

岩瀬 浩氏

凸版印刷株式会社/取締役 高機能事業部長

----- 今後の内需を考えた場合、これまでに経験のない需要構造の変化として、人口の減少や世界に先駆けた高齢社会、また世帯別構成比に占めるシングルスの増加などを無視することはできません。加えて本誌が注目しているのは、あの「3・11」以降における生活者に表れた明らかな意識の変化です。例えばある調査では、10個以上もある項目の中で「環境に優しい容器を買う」が、「3・11」を経て最も伸びが大きい(約1.5倍)という結果が表れています。それだけパッケージというのは日々に接する身近な存在として、生活者の意識を反映しやすいものだといえましょう。こうした変化は、"価値観の転換"とも言えるものだと思います。

岩瀬) 「3・11」以降といった点では生活者だけでなく、包装サプライヤーとしての我々の意識も大きく変ったと思っています。危機管理といったことはもとより、パッケージの存在感や役割の重要性といったことなどを再認識しました。今後は、それを踏まえた包装設計といったことを考えていかなければなりません。
 例えばリサイクル材の利用を推進するための、資源循環の仕組みといったことを考慮した包装設計などは新しい課題です。当社では近年、そうした需要構造の変化や生活者の意識変化に応えた、GLを中心とした透明ハイバリアフィルムの包装材開発と用途拡大に力を入れています。
 ご承知のように内需は縮小傾向にありますが、幸いにも当社のバリアフィルムの需要は着実に拡大しています。また、先に触れた「3・11」の経験を通じても、今後のバリアフィルムの役割は非常に大きいと考えています。包装材開発では"減容化"と"高耐久化"に力を入れています。例えば、"減容化"ではリデュースを促進するもので、CO2の排出削減などに結びつきます。また"高耐久化"ではレトルト耐性などを付与しています。

----- パッケージといった視点からプロダクトマーケットの大きな動きを捉えると、やはりリジットからフレキシブルパッケージへのシフトが目立ちます。なかでもコストやCO2の排出削減などの点から、バリア材を利用した包装材の薄肉化(単層化)が急速に進んできています。また、確かに「3・11」以降の変化の表れとして、保存食(常備食)や食品ロスに対する意識は高まっており、そこでのバリア材の役割は大きいと思います。

岩瀬) あわせてシングルスを中心とした家庭での、調理における電子レンジの利用度は確実に高まっていますので、アルミレスとなる透明バリアフィルムの特性が十全に生かせるところだと思っています。ご承知のように、国内包装産業の発展経緯(受注生産)によるところが大きく、当社も例外ではなく提案力に弱い面があります。
 ただ先にも触れましたが、パッケージは日々の生活を支える大切な役割を担っているとの再認識から、価値観の転換点にあって新しいパッケージの提案は不可欠なものだと思っています。特に、こうした景気低迷下にあってパッケージは、コスト削減などマイナス面で捉えられがちですが、たとえばシェルフライフを延ばすことで食品ロスの低減や生産効率の向上などにもつながることを提案しているところです。
 少なくても包装サプライヤーであり、ハイバリアフィルムを扱っている我々が「パッケージには付加価値があり、他に先駆けて価値転換を具現化できるものである」との自負を持たなければ、よい提案はできないと思っています。実際に、バリア材を使用することでの食品ロスの低減などを試算してみると、コストセーブに占める包装材コストのアップ率などは1%未満ほどです。ましてや、金属検査機が使用できることや必要な在庫を備えることなどによる、生産効率の向上は明らかです。

----- 環境分野の活動家としては史上初となるノーベル平和賞を受賞者したワンガリ・マータイ女史が、「もったいない」との日本語を世界に広めたことは有名ですが、本誌は食品ロスの低減といわず"ゼロ"を目指すのはパッケージの使命だとも思っています。"ゼロエミッション"ならぬ、"ゼロ・ミッション"ですね。
 昨年(2011年5月)開催された世界最大の国際包装展「interpack 2011」では、国際連合食糧農業機関(FAO)と協力した初めてとなる特設展「SAVE FOOD」が設けられていました。いうまでもなく「SAVE FOOD」は、「食品ロスの低減」そのものであり、実効性の有無はともかくとして世界中が「もったいない」を思考し始めていると言えなくはありません。それだけに日本に止まらず、日本の包装サプライヤーの役割と使命を自覚してほしいと思います。

岩瀬) これまで欧米を中心に「GLフィルム」の需要の開拓を進める中で、日本の包装技術やノウハウ、経験が世界でも優位性となることを強く実感してきました。ご指摘のように、「SAVE FOOD」を「GLフィルム」の1つの大きな使命として、さらに世界に啓蒙していきたいと思います。
 とはいえ、パッケージはローカルな風土や文化に根差したモノでもありますので、包装サプライヤーとしてだけではなく、クライアントさんを含めた様々なコラボレーションの中で仕掛けづくりをしていくことも必要だと感じています。特に中国をはじめとしたアジアは、ハイバリアフィルムにとってこれからの重要なマーケットであると強く認識しています。
 それは、単にマーケットサイズということではなく、日本とも共通する文化土壌を持つことから、欧米以上にフレキシブルパッケージへのニーズは高いと思っています。事実、東南アジアを中心にスープなどの小袋用途として、レトルト対応グレードの「GLフィルム」の需要が着実に伸びています。

※GLフィルム……凸版印刷が独自に開発した透明蒸着ハイバリアフィルムの総称。独自の蒸着加工技術による世界最高水準のバリア性能と用途に応じた豊富なバリエーションによって、国内だけでなくアジアを中心に海外市場でも高い評価を得ている。今日では透明ハイバリアフィルム市場のトップブランドとして、30の国と地域、1000社約1万点の商品に採用されている(2011年12月時点)。