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インタビュー

何があっても笑える。笑い合える幸せのパッケージ

今月はインタビューをお休みし、特別編として「WORLD VIEW」を掲載いたします。

 覚醒剤所持で逮捕された元プロ野球選手の清原和博氏の盟友として、神妙な面持ちでコメントした桑田真澄氏の言葉が印象的であった。誰人も間違いを犯すことはあるが、盟友や知己にあんなコメントをさせてはいけない。近づくほどに暗さも不幸も伝播する。
 もちろん明るさも幸せも伝播する。そう思うと、「一切関わらないでくれ!」と盟友を遠ざけたのは、清原氏の愛であったのかもしれない。だが、近づいて自らを変える(明転する)こともできたはずと思うと悲しいことだ。薬などではなく、ときに目の前の友を信じて頼ることも必要である。
 心に留める先師の言葉に「どんなに賢い人も何かに騙される。同じ騙されるなら何に騙されるかが大事である」とある。「騙されてもよい」と思い切れる何かを持てるかどうか。逆にいえば、信じるにたる何かを持てるかどうかに人生の幸不幸がかかっている。
 まだ読んではいないが、桑田氏には「常識を疑え! KUWATA METHOD」との著書がある。"常識"とは、時代によって変わるものだ。1つの真実に至る道は幾通りもあろうが、かの哲学者デカルト(「方法序説」)のように「疑う」こともその1つの方法である。
 ここにも疑ってみたくなる一書がある。そのタイトルからしてユニークな「『まじめ』は寿命を縮める『不良』長寿のすすめ」(宝島社新書)だ。その著者の奥村康氏は、いかにも堅そうな"免疫学の第一人者"との称号をもつだけに内容に驚く。その一部を紹介するとともに「あなたは信じますか?」と問い掛けたい。
 
 * * *
 
 笑いは不良長寿の秘薬の一つです。自然治癒力のカナメであるNK細胞の働きを強くするには、笑いが大変効果的です。上品なスマイルではなく、ゲラゲラ笑った方がいいんです。
「ガン患者がコメディー映画や落語を楽しむと、NK細胞の活性が上昇」「吉本のお笑いを見たら血糖値が下がった」「アトピー性皮膚炎の患者さんも、笑いで治りが早くなる」など、笑いが体内の免疫を活性化させ、病気の治療や長寿などに貢献することが、世界中で報告され、評価されています。
 アメリカでは1982年に、医師や心理学者を中心にした「笑い療法学会」が発足し、医療における次のような「笑い」の効果について本格的な研究が行われています。
(1)大笑いすると心身がリラックスし、自律神経の働きが安定する。
(2)モルヒネの6倍以上とも言われる強力な鎮痛作用をもつ神経伝達物質、エンドルフィンが増えて、痛みを忘れさせる。
(3)情動をつかさどる右脳が活性化するので、刺激やストレスで左脳を使う人にとって、リラックス効果があると考えられる。
 国内では「日本笑い学会」が、ガン患者のモンブラン登頂プロジェクトなどで知られる「生きがい療法実践会」を指揮する医師グループと行った共同研究が知られています。ガンと闘う20代から60代までの患者20人に、お笑いの吉本の本拠地、大阪・なんばグランド花月で漫才・喜劇など3時間にわたって楽しんでもらい、その前後に採血したんです。
 すると、ガンに対する抵抗力の指標の一つとなるNK活性が、開演前に比べて明らかにアップしていたそうです。一般的に、ガンの治療に使われる免疫活性剤で同様の効果が表われるまでには数日かかりますから、笑いの効き目は薬をはるかにしのぐわけです。
 この実験を受けた人たちの3人に1人は、細胞をウィルスなどから守る働きをするインターフェロンの産生も高まっていました。大笑いすると気持ちが明るくなるだけでなく、短時間に免疫系を正常化させる効果があることが分かったわけです。
 その半年後、京都のルイ・パストゥール医学研究センターでもこの実験を追試し、同様なデータを確認しました。同センターによれば、漫才などを見て3時間ぐらいゲラゲラ笑ったあとのNK細胞活性化の速度は、ガン治療に使われている代表的な免疫療法の一つである、OK432を注射したときよりも速いものでした。
 つらいときも苦しいときも痛いときも、笑うにかぎります。私自身は、テレビ番組の企画で故・丹波哲郎さんにゲラゲラ笑っていただいて、免疫系の数値が劇的にアップすることを、この目に確認しました。まず丹波さんの血液を採って、NK活性の強さを測る。
 それから30分間、若い芸人さんに丹波さんを笑わせてもらい、あらためて採血したら、NKの強さが10倍も高くなっていました。こんなにすぐによく効く、そして副作用のない免疫アップ薬はほかにありません。
 半世紀近くも前に、世界的に有名な「笑いの臨床実験」を身をもって行ったのは、アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏。難病を文字どおり「笑い飛ばして」治しました。
 カズンズ氏は1964年、50歳の時に、今なお原因不明で根治はむずかしいといわれるリウマチ性疾患の「強直性脊髄炎(AS)」に冒されていると告知されます。手足の関節が激痛に見舞われてこわばっていき、肩が硬直し、やがて脊椎が変形してしまうこともある、つらい病気です。
 「治る可能性は500人にひとり。あなたには見込みがない」と医者に言われたカズンズ氏は、薬を止めて、代わりに人生の明るい面だけを考え、笑っている時間をできる限り増やすことにしました。
 そして、コミックやコメディーで10分間ゲラゲラ笑うと、2時間は痛みがやわらぎ、血沈の数値も改善することを突き止めます。カズンズ氏は2週間で退院し、数か月で仕事に復帰して、その後は人間の自然治癒力の驚くべき可能性を徹底取材して、全人医療の在り方を世に問いました。
 著書「笑いと治癒力」(岩波文庫)には、笑い、ユーモア、生への意欲が奇蹟をおこすこと、創造力が長寿をもたらすこと、よく効く薬だと信じこむと、小麦粉でも痛みに効くプラシーボ効果など、心と身体が密接につながっていることが詳しく記されています。
 「わっはっは。わっはっは」という大笑いがトレードマークの、アニマル浜口さん(レスリングの浜口京子さんの父)。おかしいことがあってもなくても、一日一度は必ず「笑い体操」をしている、とテレビのトーク番組でおっしゃっていました。
 これは、どこでもできて簡単で、実に効果的な健康法です。「おなかがよじれて苦しい!」状態になって、顔にも赤みがさしますね。大笑いするには大きく息を吸い込む必要があるので呼吸が深くなり、腹筋や横隔膜などの筋肉も大きく動きます。
 血のめぐりもよくなって、全身の新陳代謝が促されます。つまり、大笑いは立派なエクササイズなんです。笑うと脳内物質「β-エンドルフィン」や「セロトニン」の量も増えます。「β-エンドルフィン」はモルヒネに似た、痛みやつらさをやわらげる働きを持っています。
 もともと脳内にある物質ですから、麻薬に比べて分解が早く、副作用もありません。セロトニンは、怒ったり不安なときに分泌されるアドレナリン系のホルモンを抑制する神経伝達物質。このセロトニンが不足していると、いつもピリピリして、ちょっとしたこともパニックの引き金になってしまいます。
 逆にこのセロトニンの備蓄がたっぷりあると、たいていのことには動じないで、おおらかにかまえていられます。ともあれ毎日、ゲラゲラ笑う時間をつくりましょう。お笑い番組であろうとコメディー映画であろうと、手段はなんでもいいんです。
 作り笑いであっても威力は絶大で、気持ちが沈んでいるときも、パッと心がほぐれますよ。家族とバカを言って笑い合えたり、笑って盛り上がれる仲間がいれば、それが一番幸せです。何があっても、何がなんでも笑ってみせる、という心意気が、病気を遠ざけます。

奥村康(おくむらやすし)
1942年6月島根に生まれる。1969年に千葉大学医学部卒、1973年に同大学院医学研究科修了、医学博士。スタンフォード大学リサーチフェロー、東京大学医学部講師、順天堂大学医学部教授、同大学医学部長。2012年に定年し、名誉教授、特任教授。サプレッサーT細胞の発見者で、ベルツ賞、高松宮賞、安田医学奨励賞、ISI引用最高栄誉賞、日本医師会医学賞などを数々受賞。免疫学の国際的権威で、1990年に日本免疫学会会長を務める。