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ニュースフラッシュ

凸版印刷:セルロースナノファイバーを用いた包材共同開発

2010.06.29

 凸版印刷は、日本製紙と花王とで、TEMPO※酸化セルロースナノファイバーを利用した包装材料の開発を共同で行うことを合意した。同共同開発は、2010年4月に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ナノテク・先端部材実用化研究開発プロジェクト(ステージ2)」に採択されている。それぞれが持つ技術力を連携させ、生分解性を持ち、耐熱性や酸素バリア性に優れる高機能包装材料の実用化を目指するものだ。 
 TEMPO酸化セルロースナノファイバーは、(1)木質バイオマス由来で生分解性を有する、(2)結晶性が高く耐熱性に優れる、(3)透明性が高い、といった種々の優れた性質を持っている。東京大学と日本製紙と花王は、NEDO「ナノテク・先端部材実用化研究開発プロジェクト(ステージ2)」で、ポリ乳酸などのバイオマス由来の樹脂フィルムと、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを組み合わせて酸素透過性が低いフィルムをつくり、TEMPO酸化セルロースナノファイバーの包装材料への利用可能性を検討してきた。
 その結果、酸素を通しにくいという特性を生かし、食品等の保存を目的とする容器包装への活用など、TEMPO酸化セルロースナノファイバーを用いた樹脂フィルムを高機能包装材料として実用化する可能性を見出した。この成果を踏まえて、日本製紙と花王および凸版印刷の3社は、2010年4月にNEDO「ナノテク・先端部材実用化研究開発プロジェクト(ステージ2)」に応募し、採択されたものだ。(プロジェクト期間:2010年4月から2012年9月まで)
 今後は3社が連携して、最適な木材原料の選定からTEMPO酸化セルロースナノファイバーの製造・品質の向上、パッケージ化および最終製品での包装材料としての性能評価まで、一貫した研究開発を効率的に行っていくことになる。また3社はプロジェクトと並行して、具体的な実用化に向けて市場性やコストなどの事業採算性の見極めていく考えである。
 セルロースは、木材などの植物細胞の繊維の主成分で、植物を構成している物質の1/3を占め、地球上で最も多く存在する炭水化物であり、紙の主原料(パルプ)としても知られている。ナノファイバーとは、太さ1〜100nm程度の繊維のことである。このようなナノレベルの細い繊維は従来の繊維と比べると、(1)比表面積が大きいため触媒や吸着剤として優れた効果を発揮する、(2)分子が整って配列していることから、強度・弾性に優れる、などの性質を持ち、これまでにない新しい機能を持つ素材として期待されている。
 特にセルロースナノファイバーは木材から作ることができ、生産・廃棄での環境負荷が小さいことから、その製造方法の研究、および用途開発が、国内外で盛んに行われている。セルロースナノファイバーをつくるためには、木材のセルロース繊維を細かくほぐすことが必要となる。セルロース繊維は、繊維と繊維が強固に結合しているため、効率良く均一にほぐすことは困難であったが、国立大学法人東京大学大学院農学生命科学研究科教授の磯貝氏らは、2006年、機能性触媒である「TEMPO」を用いて酸化することにより、セルロース繊維が容易にほぐれて、均一なセルロースナノファイバーとなることを世界で初めて見出した。

※TEMPO(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル)