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ニュースフラッシュ

メッセデュッセルドルフ:欧州市場で高まる日本企業のプレゼンス

2010.08.27

◎医薬品包装と安全

 今ヨーロッパで注目されているのが医薬品の分野である。特に偽造品が出回っていることでの、医薬品メーカーのイノベーション力の低下と、患者・消費者の健康被害である。世界保健機構(WHO)の調べでは、先進諸国にインターネット経由でオファーされる医薬品の半分ぐらいは偽物との推測である。また世界の医薬品の6〜10%は偽物との推計もあり、欧州共同体各国の税関が今年前半に押収した偽物の丸薬は、3400万錠にのぼる。
 コンサルティング会社OpSec Securityによれば、医薬品の偽者の9割以上が中国とインドで生産されている。このような多重式の物流での製品管理は難しく、そのチェック機能として包装が注目されている。ドイツ調剤師協会は、2010年2月から医薬品包装の認証実験を開始した。医薬品メーカーと共同使用のデータベースに、医薬品に関する情報(品質保持期限、バッチ番号など)が記載されるとともに、パッケージングに個別番号が記載される。
 調剤師が患者に医薬品を渡す際、シリアル番号とデータベースを調べて、安全チェックを行うというものだ。ヨーロッパの包装産業では医薬品の真性の保護についての研究開発に力を注いでいる。すでに実用化されたものでは、パッケージングが開封されたかどうかを証明するテクノロジーとして、例えば重層的なシールなどがある。ドイツのテサ・スクリボス社が2010年春に紹介した「テサ・コード・シール」という、ラベルと安全コードを集積するテクノロジーなどが注目される。
 個々のラベルにはコンピュータによってはじき出された個別コードがインテグレートされている。そのコードは暗号化されたもので偽造は不可能である。特有のデータベースにアクセスすれば、コードのチェックがすぐできるというメリットもある。また紙幣用紙や紙幣印刷、通貨自動システムのリーダーとなるサプライヤーのギーゼッケアンドデブリエント(G&D)が立体的なシールを開発した。医薬品メーカーであるビオノリカ社がこのシールを採用し、2011年までにすべての医薬品パッケージにそのシールを付ける計画である。
 2009年当時、欧州委員会の経済担当大臣であったG.フェアホイゲン氏はその年の12月のインタビューで、「欧州共同体は2010年内に医薬品安全に関して新しい法律を施行するであろう」との予測を述べた。その法律の内容は、医薬品の物流ルートが製造から患者までに隙間なくチェック・証明を可能にすることが義務付けられるというものである。

◎包装素材と環境

 飲料容器が物流コストの削減などの理由から、ガラスびんからプラスチックや金属へのシフトが進んできたが、その結果ごみが増加したため、欧州共同体は1994年に包装ごみに関する指令を下した。それが2004年に再検討され、欧州の加盟国で様々なシステムとして実践されている。容器のデポジット金が義務付けられる国やメーカーと販売側の間に自発的な契約が存在する国など、欧州市場としての統一化の途中でもあり、現状では企業側が主導的な立場を担っている。
 欧州でも環境負荷の軽減への関心が高まっていることから、包装素材メーカーでは軽量化や適正化などに努めている。経済誌「Handelsblatt」によると、テトラパック社がドイツ国内にある製造工場と、ドイツ本社ビルの給電を再生可能エネルギー資源で発電されたものに転換したとのこと。すべての原紙供給会社が森林認証(現在は森林管理協議会FSC)を取得することを目標とし、FSCのロゴマークを紙パックに表示している。テトラパック・ドイツでは2010年、包装・容器の50%以上にそれを適用する計画を明らかにしている。

◎高まる日本企業のプレゼンス「interpack 2011」

 「interpack」への日本の包装企業の関心が高くなってきている。これまでの出展社に加え新規に8社が出展する。現在まで問い合せがあり、ウエイティグリストとなっている企業もあるようだ。日本の包装企業が出展する総展示面積は前回の2008年度、前々回の2005年度に比べ増加している。詳細は
http://www.interpack.com/を参照。

(以下の情報をベースに作成)
「欧州包装NEWS」3号(2010.8)、「interpack」HP、「Süddeutsche Zeitung 」誌(2010.6.17)、テサ・スクリボス社HP、欧州委員会経済局HP、経済誌「Handelsblatt」(2010.7.1)