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《編集部発》伝統ゆえのパッケージの多様化

2010.12.14

n_20101214_04.jpg "ボジョレ"とのワイン産地の名称表記を、PETボトル入りには「禁止する」との発言には違和感を抱いている。気持ちは理解できるが、パッケージ選択を規定するのはいかがであろか。人体に悪影響を与えるとか、大きく社会性を逸脱するということならともかく、プロダクトマーケットの自由意思を制約するものであり、生活者の選択の自由を奪うものにならないだろうか。
 需要と供給のバランスといったことだけではなく、自由かつ正当なプロダクトマーケットには"神の見えざる手"が必ず働くものである。それを、狭い人の了見で制約するのはナンセンスではなかろうか。いうまでもなくパッケージは内容物の品質を第一義とし、"グローバリゼーション"などがクルーズアップされる遥か以前から、生活圏の広域化や生活スタイルの変化に応えて、多様化してきたといえる。
 パッケージの多様な進化は、独自の技術というよりも生活の知恵と、生活の基盤技術の進展と相まってきたものである。それだけに、生活や文化に深く根付いたモノであればあるほど、そのパッケージの機能や形体、デザインは生活シーンに応じた多様化が進んでいるといえる。アルコールなどは、その国や地域の生活や文化を象徴する1つであるだけに、パッケージも多様化するのは当然だと考える。
 たとえば日本酒を象徴するパッケージは1升瓶だが、数百mlサイズのガラスびんもあればメタル缶、PET容器、紙パックなど様々なパッケージ形体で販売されている。ワイン文化が底流する欧州でも事実、ワインのパッケージは様々である。「ボジョレ ヌーボー」として、PETボトル入りが日本に輸入され始めたのはつい最近だが、すでに欧州マーケットでは存在していたものである。
 また、日本ではまだ馴染みの薄いBIB(バッグインボックス)入りワインは、欧州では定着したワインのパッケージである。それでも、もちろん「ワインはガラスボトル入りじゃなきゃ」とフランス人はいうのである。何だか、最近では日本酒のワンカップではないが、「oneglass」と銘打った100mlサイズの紙パック入りワインも発売されているようだ。
 繰り返しになるが、つまりパッケージの多様化というのは、そのまま需要のすそ野の広がりを示しているのである。むしろ"伝統"ゆえの成せる業といえるものであり、喜ばしいことではないだろうか。それがワインのパッケージとしての品性に欠けるものであるか否かは、プロダクトマーケットが判断するに違いない。