• ニュースフラッシュ
  • ワールドビュー
  • 製品情報
  • 包装関連主要企業
  • 包装未来宣言2020

トップページ > ニュースフラッシュ > キッコーマン:しょう油づくりの麹菌ゲノム解析に成功

ニュースフラッシュ

キッコーマン:しょう油づくりの麹菌ゲノム解析に成功

2011.03.09

 キッコーマンは、野田産業科学研究所と東京大学、東京工業大学との共同で、麹菌「アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)」のゲノム(全遺伝情報)解析に世界で初めて成功した。2011年3月25日から京都女子大学で開催される「日本農芸化学会」2011年度大会で発表する。「アスペルギルス・ソーヤ」は「アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)」と並ぶ日本を代表する麹菌の一種である。
 これまでしょう油や味噌などの醸造現場からしか見出されておらず、進化的にも遺伝子資源の面からも世界的に関心がもたれてきた。今回、「アスペルギルス・ソーヤ」のゲノムを、次世代シークエンサーを用いて解読し、約3900万塩基対のドラフト配列を決定した。今後、「アスペルギルス・オリゼ」との比較など、さらに詳細なゲノム解析を進めていく考えである。
 今回ゲノム解析した「アスペルギルス・ソーヤ」は、「アスペルギルス・オリゼ」と比べるとタンパク質を分解する能力が高く、しょう油・味噌など大豆を原料とする醸造食品の製造に主に利用されている麹菌である。タンパク質は分解されるとアミノ酸やペプチドとなる。
 アミノ酸は食品の味を作る成分の1つで、おいしさの源となる成分である。最近では健康・美容、医療などの分野にもアミノ酸の利用範囲が広がっている。またペプチドには血圧上昇抑制作用や抗酸化作用、抗菌作用などを持つものがあり研究も盛んである。
 麹菌「アスペルギルス・ソーヤ」のゲノムを解析することで、タンパク質やペプチドを分解する多数の酵素に関する情報を得ることができる。これらの情報を元にしてタンパク質やペプチドを分解する酵素を多量に作るように改良することで、しょう油の生産効率を上げたり、よりおいしい食品や健康機能性ペプチドを含む食品を製造できるようになるなどの成果が期待される。