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《編集部発》アルミ付き容器・包装ごみから発電

2012.01.13

 北陸三県の自治体や企業、大学などが加盟し、トナミ運輸(富山県高岡市)が事務局を務める「北陸グリーンエネルギー研究会」が2012年1月10日に、飲料や菓子などの容器・包装から分離・回収したアルミニウムで電気をつくる装置の実証実験を公開したことが報じられた。環境省の委託を受けた技術開発で「2年後の事業化を目指す」という。
 本誌のタイトルには「未来のパッケージングを思考するマンスリーマガジン」と付されているが、実は「包装」についての1つの夢がった。かつて人気を博したアメリカ映画に「バック・トゥ・ザ・フュチャー(Back to the Future)」(1985年)がある。タイムマシーカーを開発し、自分の人生にかかわる過去と未来を行き来するというストリーである。
 確かPart2だったと記憶するが、その1シーンで、未来から帰還したタイムマシーカーは改良されており、その燃料が開発当初のプルトニウムからごみ箱に捨てられた空き缶などのごみに代わっていた。もちろん「夢物語」に違いないが、本誌には「やがてプルトニウムのような特殊な鉱物ではなく、物質ならどんなものでも原子崩壊させる技術が誕生するに違いない」と思えた。
 地球上の資源は偏在し、物質には限りがある。だから偏在なく限りある物質を、有効に利用する技術して考えてみたのである。そうなれば、ごみも貴重な資源の1つとなり、複雑な仕組みをつくらずとも大きなエネルギー源となり得るであろう。だが、福島原発事故を経験したあとでは、「そんな技術ができれば、所選ばず"原発事故"を起す可能性は否めない」と考える。
 やはり何事においても利便性や効率のみを追うのは間違いで、大事なことほど時間や労を惜しまず、地道な努力を重ねていかなくてはならないのが道理なのである。選別した容器・包装ごみからアルミ材を分離し、そこから電力を生み出すというのだから地道な作業をともなうに違いない。その努力に熱意に敬意を表したい。
 アルミを水酸化ナトリウムと反応させ、発生した水素を燃料電池に送って電気と水にするという原理は非常にシンプルである。研究会は2009年度から開発を本格化させた、1)包装材からアルミを分離する、2)アルミを高純度化する、3)燃料電池として持ち運び可能にするとの3つの技術から成る、アルミ付着廃棄物の電力化に成功したものだ。同装置は「エ小僧(えこぞう)」との愛称で呼ばれ、国の委託金は3年間で約1億4000万円とのことだ。
 県庁で行われた実証実験では、燃料電池部分の装置2台を使い、市販の融雪マットに電気を供給し階段に敷いたマット上の雪を溶かした。今後、融雪マットのほか、防犯灯や病院用蓄電池などでの事業化を目指している。500グラムのアルミで、200ワットの燃料電池を約4時間動かすことができるという。
 やはり今後の課題は、ごみを回収する仕組みづくりや地域参加に向けた動機づけなどにある。同研究会では「一連の設備は約66平方メートルの敷地に設置できる」とコメントする。再利用できるアルミ付着廃棄物の排出量は、同県内で年間2.7万トン、石川県で2.8万トン、福井県で2万トンと推定される。家庭の可燃ごみ(生ごみを除く)では2割程度を占めているという。