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ニュースフラッシュ

欧州包装NEWS(2012年3号)

2012.08.22

「欧州包装NEWS」2012年3号(秋号)
メッセ・デュセルドルフ・ジャパン

 
 IFO経済研究所(ミュンヘン)は、欧州経済は2012年0.5%減少すると予測する。国によってのバラツキが2013年も継続し、スペインでは経済成長が--1.5%〜−3.3%、イタリアではー2.2%、ギリシャでは--6%になると予想する。今まで欧州経済の機関車的な存在であったドイツも影響を受け、成長が大幅に弱まり2012年はわずか1%にまで下がると、国際通貨基金が予想している。唯一の光明は欧州外への輸出である。この輸出に包装機械や材料が含まれる。
 
欧州包装業界のトレンド(食用包装素材)
 ハーバード大学の教授であるエドワーズ博士(Dr.D.Edwards)が開発した「WikiCell」、生分解可能なポリマーと食物粒子から作った皮膜を利用した容器である。利用事例として、トマト粒子皮膜とポリマーを利用したガスパッチョ・スープ容器、オレンジ皮膜を利用したオレンジジュースの容器などがある。
 また2012年5月、日本のクラレが買収計画を発表したMonoSol社(米国インディアナ州)は、水溶性の洗剤タブに使うホイルをすでに市場に提供しているが、2012年の夏、人間が問題なく吸収できる水溶性のホイルを紹介した。それは「Vivos(TM) EdibleDelivery Systems」で、主にインスタント飲料に使用できる。
 Pepceuticals社(英国のレスター市)が、新鮮な肉を包装するために食用可能なコーティングを開発する研究契約を結んだ。これまで使われて来たプラスチック製の真空包装が不要となる可能性がある。ただし実際の導入までにはまだ幾つかのハードルがある。衛生的な理由から、どうしても追加の包装が必要であり、生活者が包装材ごと一緒に食べることに対し、まだ抵抗感があるのも事実である。
(出典:2012年3月12日付け「Packagingdigest」誌、2012年4月16日付「Guardian」誌、2012年7月9日付け「Times」誌、http://www.monosol.com/)
 
「サステーナブル」ではなく、「効果的」包装か
 コンサルティング会社PWCの英国子会社はその報告書で、「サステーナブルな」包装という概念は重要性を失い、(少なくとも欧州の)業界はそれより「efficient packaging」、つまり効率的なパッケージングに向かっていると主張する。「efficient packaging」の意味は、すべてのサプライ・チェーンを視野に入れ、商品のライフ・サイクルの各段階に至るまでの効率性を考慮することである。
 包装の課題は、できるだけ限定した素材量で廃棄物の発生を可能な限り抑え、必要な製品を保護する機能を有することである。効率性は確かにキーワードになっているが、PWCの報告書に挙げられたアンケート調査の結果では、生活者がますます環境保護に関心を示していることが、最も影響力のあるファクターとなっているという事実がある。
 サステーナブル・パッケージングという概念が以前ほど聞かれないかも知れないが、継続性(サステーナビリティー)が決して重要性を失ったこということではない。
(出典:2012年7月9日付「Packagingnews」誌、PCW著作「Sustainable Packaging Report」)
 
飲料パッケージとポリプロピレンが成長分野
 市場調査専門会社のEuromotor International(ロンドンに本社)によると、特にソフトドリンクパッケージの今後の成長性が高く、2012年〜2016年にかけて毎年6%の増加を現出するとみられている。それには、例えば中身の飲料の温度を示す感温性のあるインクを応用した容器などの革新的なソリューションの開発が必要である。
 また別のコンサルティング会社の調査では、包装材によく使われるPP素材の利用が増大するため、生産が2019年までに約40%増加すると予想されている。特にアジア・太平洋地域が急速な成長をみせると報告されている。
(出典:2012年8 月9日・13日付「Packaktuell 」誌)
 
 欧州包装界の構成に変化が起こっており、合併・買収が安定したレベルで行われている。包装界では1年間平均120件の合併・買収があり、その中の半分ほどは、プラスチック素材分野が占めている。これまで大規模な合併・買収として、特に2012年は次の2件が注目を集めた。英国のDS Smith社がスエーデンのSCA Packaging社の買収(2012年6月30日、20億フラン:1615億円規模相当)し、スウェーデンのKorsns社とBillerud社が2012年6月中旬に合併する計画を公表した。
 ドイツの包装界では、2011年に27件の合併・買収が公表された。その3分の2は国際取引で、ドイツ企業が海外の企業を買収したり、海外企業に買収されたりしたものだ。これからの課題は、ドイツの中小企業が共通に直面している問題である、企業の所有・経営者の高齢化とそれと伴う後継者探しだ。
(出典:2012年8月5日付「Neue Verpackung」誌、2012年7月31日付「Packaktuell」誌)
 
 ドイツの包材メーカーが2011年に記録的な売上高を打ち立てた。2010年に比較して売上高が8%増加し、321億ユーロ(約3兆1130億円相当)に達した。素材別にみると、紙と断ボールは包材の48%を占め、一番普及している素材となる。
(出典:2012年5月30日付「Packaktuell」誌)
 
 ボッシュ・パッケージング社の担当代表取締役のクレフェンツ氏は、2012年は12%の売上増加を見込んでいると発表した。同社はグローバル化が進んでいる企業の1つで、売上高の9 割程度をすでにドイツ国外で達成している。その成長を維持するために、同社は液状の栄養物を充填する設備メーカーAmpackAmmann社を買収すると公表し、インドで生産能力を増強するためゴア地方に新しい工場を設置した。
 またドイツのクロネス社も、2012年は大きな成長を実現するという予想を公表しており、2011年に比べて売上高4%増を見込んでいる。2012年の前半の実績はすでに印象深いものとなっており、2011年の前半に比較して売上高2.6%増、受注高が13億3000万ユーロ(1290億円に相当)に達している。2012年の後半は増加率がさらにスピード・アップすると予想されている。
(出典:2012年8月10日・7月25日・7月23日付「erpackungsrundschau」誌、2012年8月6日付「Neue Verpackung」誌、2012年7月26日付「FAZ」誌、2012年7月24日「FTD」誌)