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ニュースフラッシュ

凸版印刷:熱殺菌後の酸素バリア性が世界一

2012.10.02

 凸版印刷は、熱殺菌後の酸素ガスバリア性が世界一高い透明ハイバリアフィルム「PRIME BARRIER(プライムバリア) レトルトグレード」を開発した。熱殺菌が必要な流動食や点滴用輸液といった栄養摂取(ニュートリション)関連製品など、高い酸素ガスバリア性や耐熱性が求められる包材・部材向けとして、2012年10月から本格的な販売を開始する。
 新しい透明ハイバリアフィルムシリーズ 「PRIME BARRIER」の第1弾として開発したもので、耐熱性と耐屈曲性に優れ、アルミ箔に匹敵する高い酸素ガスバリア性を持つ透明ハイバリアフィルムである。世界最高レベルの酸素ガスバリア性と水蒸気バリア性を持つ「GLフィルム」に、高い酸素ガスバリア性を持ち、耐屈曲性に優れたハイバリアフィルム「ベセーラ」の技術を融合したものだ。
 熱殺菌後の酸素ガスバリア性が世界トップだった同社従来品の約2倍となる高い酸素ガスバリア性を実現する。これにより、熱殺菌後に高い酸素ガスバリア性が求められる流動食や点滴用輸液包材などへの対応が可能になる。
 超高齢社会が進む現在、医療費の削減を進める上で、ニュートリション関連製品が高い関心を集めている。流動食や点滴用輸液の市場は堅調な伸びを見せており、流動食の市場規模は2012年に約800億円と推定される。また、中国やインドなど海外でもその需要が伸びており、特に中国での点滴用輸液の市場規模は日本の8倍と推定される。
 点滴用輸液包材は、高い保存性要求から以前はガラスびんが多く用いられていが、ガラスびんは破損しやすい上に重いので扱いにくいといった課題があった。そのため、国内では軽量な上に柔軟性があるフィルム包材(ソフトバッグ)が主流となっている。しかし中国やインドなどではまだガラスびんが多く、ソフトバッグへの代替が求められている。
 また、流動食や点滴用輸液包材には、透明性やシール性や耐ピンホール性、吸収吸着が少ないなどの特性が要求され、殺菌処理に対する耐熱性や、内容物の劣化防止のための酸素ガスバリア性や水蒸気バリア性も必要である。しかし、バリアフィルムのバリア性だけでは劣化を防ぎきれず、包装内部に乾燥剤や脱酸素材を同梱している製品も多いため、異物混入や誤飲などのリスクが問題になっていた。
 これらの課題に対し、高い酸素ガスバリア性を持ち、耐屈曲性などその他の特性も兼ね備えた透明ハイバリアフィルム「PRIME BARRIERレトルトグレード」を開発したものである。酸素ガスバリア性が高い「GLフィルム」と、熱水処理により酸素ガスバリア性が向上する「ベセーラ」との融合により、従来製品の約2倍となる高い酸素ガスバリア性を実現する。また屈曲によるストレスを与えても、酸素ガスバリア性が劣化しにくい「ベセーラ」の特性を生かし、従来の約10倍の耐屈曲性を持つ。
 フィルム自体が透明なため内容物をアピールすることもでき、充填後も目視確認が可能なため、シール不良やピンホールチェックなど品質検査の際にも有効である。素材にはPETフィルムを使用し、燃やしても有害ガスが発生せず、残渣もほとんど残らない。
 同社では、流動食や点滴用輸液向けなど高い酸素ガスバリア性や耐熱性が求められる包材・部材向けに、国内はもちろん海外市場へも積極的に拡販していく意向である。また単体で2015年に80億円の売上を目指す。拡大する透明バリアフィルム市場に対し、バリア性や長期信頼性に優れた製品の開発を推進し、透明ハイバリアフィルム事業全体で2015年に500億円の売上を目指すものだ。