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NECなど:ミドリムシからバイオプラスチックを開発

2013.01.12

 NECと産業技術総合研究所(産総研)の研究員らと宮崎大学の准教授は、微細藻の一種のミドリムシから抽出される成分を主原料にしたバイオプラスチックを共同開発した。石油由来の樹脂や従来のバイオプラスチックと同等の耐熱性と熱可塑性(加熱すると軟化する性質)を持ち、植物由来成分が70%と高いことが特長である。
 
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 科学技術振興機構(JST)の先端的低炭素化技術開発の研究テーマの一環として開発したものだ。安定的に供給できる非食用の植物資源を利用し、高い温暖化ガス削減効果を実現するバイオプラスチックの開発を目的にしている。様々な効果が見込め、食品工場などの安全な廃液を使った培養が可能なミドリムシを供給源に選んだ。
 開発したバイオプラスチックは、ミドリムシが細胞内に大量に産出する多糖類に、同じミドリムシ由来の油脂成分から得られる脂肪酸か、カシューナッツの殻由来の油脂成分を加えて合成する。物性測定では、耐熱性は石油由来のABS樹脂やバイオプラスチックのポリ乳酸などより優れ、熱可塑性は同水準だったが、衝撃強度には改善の余地がある。
 今後は、物性と構造の詳細な関係を解明し、さらに高い耐熱性や強度を目指して分子設計を進める。併せて、ミドリムシの効率的な培養方法や多糖類の抽出方法など、製造に必要になる技術の研究も実施する考えである。ミドリムシは分類学上、動物にも植物にも属するユニークな生物で、水中を泳ぎ回ることができる上、葉緑体を持ち光合成する。