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ニュースフラッシュ

王子ホールディングス:世界初の紙の透明連続シート化

2013.03.21

n_20130321_02.jpg 王子ホールディングスは、東雲研究センタにセルロースナノファイバーの連続シート化設備を設置し、サンプル製造および供給を開始した。同社は三菱化学と2009年10月から、セルロースナノファイバーに関する共同研究を行っている。
 シートの形成材料であるセルロースナノファイバーは、植物繊維(パルプ)をナノオーダー(1mmの100万分の1)にまで細かく解きほぐしたもので、髪の毛の2万分の1程度の太さになる。線熱膨張係数(=温度変化に伴う伸縮の度合い)はガラス繊維並みに小さく、弾性率はガラス繊維より高い(=硬くて丈夫)という優れた特性を有している。
 セルロースナノファイバーは植物由来であることから、紙と同様に環境負荷が小さく、リサイクル性に優れた材料であることも特長である。ただ、その細さから従来の抄紙機でのシート製造が極めて困難であった。そこで、化学処理技術や製紙技術、シート加工技術を融合した革新的な製造方法を開発し、約4nmという超極細のセルロースナノファイバーを用いた透明連続シートの製造に世界で初めて成功したものだ。
 今回開発した透明シートは、軽量で紙のように折りたためるため、必要なときに開いて使用できる大型ディスプレーや太陽電池などへの応用が期待される。平均繊維径が数十nmのセルロースナノファイバーを用いた連続シートでは、多孔質材料の機能を決定する比表面積、細孔径、空隙率の自由な制御技術を確立した。その結果、8.0g/m2の極薄シートの製造に成功し、さらに85.0g/m2までの広い坪量範囲をもつ多孔シートの製造と供給を可能としている。
 この多孔シートは、比表面積を増加させ高い吸着性を実現した吸着材、細孔径を小さくし空隙率を高めることにより、効率的に微細な物質をろ過できるフィルター、良好な透過性を持つセパレーター等への応用が期待される。またシート内部にナノ粒子を組み込むことで、触媒、抗菌、脱臭等の機能をシートに付与させることも可能である。
 透明シートおよび多孔シートは、樹脂と複合化することで、樹脂の透明性を失うことなく温度変化に伴う伸縮が小さく、しかも丈夫でフレキシブルであるという特長を付与できる。そのためエレクトロニクス、輸送機器、建材、医療等の分野への用途展開が考えられる。
 両社は今後、開発した連続シート化設備を用いてセルロースナノファイバーシートの幅広い用途開発を視野にサンプル供給を行い、実用化へ向けた製品開発を加速させたい考えである。
 
【セルロースナノファイバーシートの物性】
◎繊維径......4〜80nm
◎坪量......8〜85g/m2
◎比表面積......39〜148m2/g (コピー用紙の40〜150倍)
◎平均細孔径......8〜46nm (コピー用紙の1/100〜1/500)
◎空隙率......35〜62%