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ニュースフラッシュ

大日本印刷:バイオマス由来のレンジ用包材

2015.05.14

n_20150514_01.jpg 大日本印刷は、植物由来原料で製造した「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテック」シリーズのフィルムを使用した「DNP電子レンジ包材」を開発した。業界初の植物由来原料による環境対応の電子レンジ用包装材として、2015年5月から販売を開始している。
同社では2012年に、植物由来原料(サトウキビから砂糖を精製した後の廃糖蜜)を一部に使用した「バイオマテック PETフィルム」を世界に先駆けて開発している。今回は、植物由来原料によるバイオマスプラスチックを使用した低密度ポリエチレン(LDPE)フィルムの開発に成功したもので、全ての層にバイオマスプラスチックを使用(業界初)した電子レンジ用包装材である。
 バイオマスプラスチックを一部に使用した「DNP電子レンジ包材」は、表層にバイオマス度20%の「バイオマテック PETフィルム」を使用し、内層に今回新たに開発した「バイオマテック 低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム」を使用している。
 今回、インキや接着剤を除くすべてのフィルム層に植物由来の材料を用いたことで、包装全体で最大約60%のバイオマス度を達成している。LCA(Life Cycle Assessment)で、石油由来のフィルムを使用した従来品と、製品1個あたりのライフサイクルでのCO2排出量を比較すると最大で約14%削減となる。
 蒸気や酸素を防ぐバリア性が必要な食品に対し、「DNPバイオマスプラスチック包材 バイオマテック IB-PET」フィルムを使用するなど、内容物や充填機の適正などに応じた仕様設計が行える。ピロー袋の形状に加工したものやフィルムのロール状での提供も可能である。
 シリーズの1つであるピロー袋形状の「アンタッチスルーC」タイプは、レンジでの加熱時に発生する熱と圧力を利用してパウチの蒸気口が自動的に開口し、水蒸気を逃がして破裂を防ぐ仕組みである。パウチのシール部の一部に特殊樹脂をコーティングし、高温で特殊樹脂が軟化して開口する設計で、通常温度では完全に密封している。
 同社では今後、食品や飲料、日用品などのメーカーに提供する包装材を可能な限りバイオマテックシリーズに切り替えていく方針である。海外メーカーのバイオマテックシリーズへの関心も高いため、海外市場にも積極的に展開していく考えだ。
 今後、紙容器や成形品などの多様な形態の包装材にも展開し、バイオマテックシリーズの普及を通じて地球温暖化防止に貢献していくものである。同製品では、2015年5月の販売から2017年度までに3億円の売上を目指している。
 
(※)バイオマス度 : 使用する原料全体の乾燥重量の中で、植物由来のバイオマス原料の乾燥重量が占める割合。