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ニュースフラッシュ

ハイデルベルグ:「インダストリー4.0」を背景にデジタル戦略

2016.03.15

n_20160315_04.jpg ハイデルベルグ社は、「IoT/インダストリー4.0」を背景に印刷メディア産業のデジタル化を推進するとともに、パッケージとデジタル、サービスの各成長分野に向け製品ポートフォリオを拡大している。こうしたデジタル戦略は「drupa 2016」出展に焦点を合せたものである。
 「drupa 2016」でのポイントの1つは、バリューチェーンのすべてを統合・自動化し、競争力を一段と高めた印刷会社のあるべき姿を示すことにある。これからのシステムは、これまで以上に自動的かつ自律的に機能し、関連するサービスとの連携も強化される。
 もう1つのポイントは、新しいデジタル印刷ソリューションから生まれる新しいビジネスモデルと印刷アプリケーションである。富士フイルムとの共同開発の次世代インクジェットデジタル印刷機は、すぐれた柔軟性によってこれまでにない市場を開拓するものと期待されている。
 同社CEOのゲーロルト・リンツバッハ氏は、デジタル戦略について次のように述べている「私たちは、デジタルとサービスの成長分野に積極的に投資することで印刷メディア産業をデジタルの新時代へと導こうとしています。お客様はビジネスチャンスを広げるソリューション、付加価値を高めるソリューションを期待しています。デジタル化の未来に向け、お客様の変革を積極的に支援し、期待に応えたい」と。
 同社は、「drupa 2016」で「シンプリースマート」をテーマに、デジタル化の進んだ印刷メディア産業の未来像を提案する予定である。今なお急激な変化がつづくビジネス環境のなかで、印刷会社が生産効率を常に改善し、より速く、より柔軟に顧客ニーズに応えるため、プリントバイヤーも巻き込みながら自社のビジネスモデルを積極的にデジタル化していくことが重要となる。
 「drupa 2016」では、富士フイルムと共同開発した新しいインクジェットデジタル印刷機「プライムファイア106」を世界初公開する。また「drupa 2016」での発表につづき、2017年には販売を開始する予定である。印刷市場では小ロット化とパーソナライズ化がますます進み、それに応じてデジタル印刷の市場は年率2桁の成長が見込まれている。
 同社ではまた、こうした市場の方向性を見据え最新のオフセット印刷技術を統合した、デジタル印刷の製品ラインを広げている。同社取締役で印刷機部門責任者のステファン・プレンツ氏は、これからの市場について次のように述べている。
 「厳しい市場環境で勝負していくことができるのは、オフセットとデジタルを上手く統合している印刷会社です。そして、今後も競争力を維持していくためには『自動化』が重要となります。多くの印刷会社にとって、生き残るためにはバリューチェーンのデジタル化が必須と考えています」と。
 デジタルバリューチェーンの基盤となるのは、受注からジョブ処理までスムーズなデータの流れを可能とする、統合されたソフトウエアのプラットフォームにある。同社では、すべての製品をプロダクションシステムのプリネクトに統合することでその基盤を築いてきた。
枚葉オフセット印刷機では、新しい設計コンセプトに基づいて開発された制御システムと自動化機能の進展により、単なる「印刷機」から「印刷システム」へと進化の道を歩んでいる。新世代のスピードマスターシリーズでは、AIによってセルフコントロールされた全自動印刷工場の概念が、現実のものになりつつある。
 「未来のスマート・プリントショップでは、当社が単なる印刷機械メーカーではないことをご理解いただけるでしょう。これからは個々のシステムの損益分岐点に評価の基準をおくのではなく、バリューチェーン全体の実効性に注目すべきです」とプレンツ氏は強調する。
ハイデルベルグ社は今、クラウドベースのサービスプラットフォームの開発に着手している。このプラットフォームは、リモートサービスネットワークをベースに10,000以上の機器と15,000以上のソフトウエア、そしてサービスに関連するすべての製品ポートフォリオにリンクしている。
 たとえばリモートモニタリングやパフォーマンスプラスなどもこのプラットフォームから提供され、印刷機の稼働率向上や工場全体の生産性向上に貢献する。数多くの機器をネットワーク接続することで、ビックデータによるサービスの精度や品質、生産性の向上が可能となる。
 サービスプラットフォームへのアクセスはカスタマーポータルから簡単に行うことができ、そこにも様々なアプリケーションも用意されている。導入機器の一覧、アップデート情報、不具合メッセージ、顧客の要望に対する回答、自己診断ツールなど、サービスに関するあらゆる情報などがそれである。
 同社取締役のサービス部門責任者のハラルド・ワイマー氏は、サービスの未来について次のように述べている。「デジタル化の進んだ未来では、自社のビジネスを最適化するために必要なすべての情報を瞬時に得られるようになるでしょう」と。同社では、サービスと印刷必需品の売上が既に全体の50%近くを占めており、今後もサービスに関連するポートフォリオをさらに拡大してゆく考えである。
 
【写真】ハイデルベルグは新しいビジネスモデルから効率を高めた包括的な製造プロセスまで、デジタル&オフセットの総合的な製品ラインを提供。