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DNP:解体しやすい液体紙容器

2017.03.27

 大日本印刷(DNP)は、常温でのアルコール飲料の長期保存が可能な口栓付き紙容器で、廃棄の際に従来より容易に解体できる「易解体液体紙容器」の新タイプを2017年4月から発売する。酒、焼酎などの酒類業界向けに販売し、2018年度に5億円の売上を目指す。
 1983年に水蒸気や酸素の透過を抑える多層バリアフィルムを開発し、パッケージの内容物の保存期間延伸などに取り組んできた。植物由来の原料を一部に使用した包装材「バイオマテック」シリーズの提供など、生物多様性・持続可能性の確保に配慮した多様な包装材を開発している。
 アルコール飲料向けの液体紙容器は、内容物保護の観点からバリアフィルムの紙への貼り付け強度を高めているため、廃棄の際の解体に手間がかかることが課題とされてきた。
 2016年5月に廃棄時に容易に切り開ける「解体しやすいタイプ」と、紙層と内装のフィルム層を簡単に剥がして分離できる「紙とフィルムを分離できるタイプ」の2種の液体紙容器を開発している。今回「解体しやすいタイプ」で、容器の天部に特殊な易開封加工を施すことで、天部の開封性を大幅に改善した。
 それにより解体をさらに容易にしたもので、従来品と比べて密封性やシール強度などに差はなく、既設の充填機などの生産ラインで対応可能のため、設備改造や新規設備導入の必要はない。開封性では、人間工学的解析手法である触動作センサーで評価を行っている。
 触動作センサーでは、作業時の指腹にかかる力(接触力)や指の動き(加速度)を指腹の感覚を阻害することなく計測できる。またパッケージ評価に特化したオリジナル解析プログラムと触動作センサーを組み合せることで、使いやすさに影響を与えている要因を数値データによって特定できる。
 使用行動のどの部分に問題があるのかを明らかにし、パッケージの開発・改善を進めている。今回の評価にも同手法を適用し、容器の天部の開封にかかるエネルギーを計測したところ、易開封加工を施した開発品は従来品より60%少ない力で開封ができることが確認された。
 今後は、「キャップ・中栓同時開栓注出口」と組合せることで、簡単に開栓できて廃棄しやすく、人にも環境にも配慮した液体紙容器として販促する。また容器をスリム化して持ちやすく、注ぎやすくするなど機能面での改良もつづていく考えである。